お椀について

私が製作する汁椀について説明させていただきます。ご注文される際の参考になさってください。

大きさ

当工房の汁椀の標準的な大きさは、直径120mm (4寸)、高さ70〜75mm (2寸3分〜5分) で、300ccほど入る少し大きめのデザインです。口当たりを考慮し、基本的には端反りとしています。また、高台がある方が指がひっかかり持ちやすいので、10mmほどの高さの高台をつけています。

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材料

使う木材は、大きく分けて3種類あります。

散孔材  

広葉樹の材で、導管が見えず表面が滑らかな材です。私はトチノキ、ホオノキ、ブナ、カエデなどを使います。飛騨地方の伝統工芸品である飛騨春慶の漆器では、時として美しいチヂミ杢が現れるトチノキが良く使われます。私もトチノキを好んで使いますが、最近はあまり市場に出回らず、高級材となりつつあります。

<トチノキのお椀>

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環孔材

広葉樹で、導管のはっきり見える材です。お椀ではケヤキがよく使われますが、その他にも私はクリ、ニレ、ナラなどを使います。導管が漆をはじき、個性的な表情になります。

<ケヤキのお椀>

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<ニレのお椀>

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針葉樹

飛騨春慶でも、ヒノキ、サワラなどの材料が使われますが、私も特にヒノキ材を使います。針葉樹の木目は独特で漆を塗ると非常に面白い仕上がりになりますが、材の比重が軽いのと、広葉樹に比べて柔らかいという点に気をつける必要があります。広葉樹に比べて漆を多量に吸い込みます。

<ヒノキのお椀>

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<サワラのお椀>

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塗り

私の器は木の器であって欲しいので、その木の特徴を殺さずに木地を最大限丈夫にするため、塗りは基本的に漆のみを使用し、油等は混ぜません。着色は、赤の場合は木地を直接染め、黒の場合は漆と鉄を反応させたものを使用します。木地に純粋な漆をたっぷりと吸い込ませると器が黒っぽくなってしまうのですが、年月が経つと必ず漆は透けますので、だんだん明るい色合いになってきます。塗りは摺漆の技法で、最低10回は塗り重ねを行います。

 

 

基本的なお椀は上記のようなものですが、高台がないお椀、端反りでないお椀などなど、色々なお椀も作ります。例えば下の写真のヒノキのお椀は、木目がしずくのようで面白かったので、端反りにしませんでした。高台も15mmと高め。こんな形ですが、持ちにくいこともなく、汁物も普通に飲めます。器は「使いやすいこと」が基本ですが、使うことに支障がなければ、多少遊んでみても良いものだと思っています。

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